「熊猫犬オフ会」 大阪からの刺客
梅雨というのは、毎年こんなにも唐突にやって来るものだったでしょうか。 局長です。
天然パーマネント泣かせの季節で、ほとほとイヤになっちゃいますね。
――― さて、大雨の中でもつづく 『熊猫犬オフ会』 レポートの続編。 今回で第19弾。

五月晴れの横浜に漂う穏やかな空気を切り裂くように、その男は現れた。
場違いな衣装、おかしなイントネーション、それでいて輝きを放つ頭部。
周囲の空気も一変した。

愛犬のカートごと新幹線に揺られながら、遠く横浜までやって来たその男からは、心なしかオタフクソースの香りがした。

そして、受付を済ませると、いきなり驚くほど自分のペースでルーティーンワークのように作業を開始した。

「撮らせて」 ではなく、「撮ってあげる」 という、なぜかギブ&テイクの “テイク” 寄りの言い方で、真熊の写真を撮り始めるその男性。

しかも、立派な一眼レフカメラを首から提げているというのに、なぜかケータイで撮影するという不思議な行動。

ひょっとして首から掛けているのは、カメラを模したネックレスなのだろうか・・・・という疑問が周囲にも走り始めたが、本人はお構いなしにケータイでの撮影を続ける。

その後も、人が集まるところには、必ず彼の姿が見える。
満を持してか、ようやく首に掛けたカメラを手にするも、何か浮かない様子。

とはいえ、そんな様子を吹き飛ばすかのように、この掛け声と共に急に勢いよくシャッターを切りまくる。

しかし、数枚撮り終わると再び浮かない顔でカメラと睨めっこを始める。
恐らく、納得のいく写真が撮れていないのだろう。
撮影という行為を、被写体と自分との、ファインダーを挟んだ戦いとでも位置づけているのだろう。

例えるなら、小腹が減ったからと作ってみた 「たこ焼き」 の生地が、自分のイメージしていた味や食感になっていなかったときの失望感のようなものだろう。

仕方なく妥協しながら食べるのか、はたまたもう一度生地を作り直して焼くのか。
シャッターを押すたびに、そういった決断を自らに迫っているのではなかろうか。

紹介が遅れたが、彼の名は “マリィの散歩請負人” 、略して “マ人” さん。
大阪で 『マリィの散歩請負人日記』 というブログを綴りながら、遠く関東のオフ会にもちょいちょい新幹線で参加するフットワークの軽いナイスミドルだ。

彼が連れているのが、パピヨン界でも有名なガウガウ兼ツンデレ娘の “マリィ” 。
そのマリィと様々な犬とのコラボレート写真を撮ろうとアクティブに動き回るマ人氏だが、周囲にいる我が陣営のスタッフは驚くほどスルーしていた。

耳の形がセーラームーンみたいな、特徴的な容姿をもつ子だが、手を出すとビラニアの如く食い付いてくるアンビバレンツな危険性も併せもつ。

その後も、あちらこちらでこの掛け声と共にシャッター音が鳴り響く。
相変わらず、自分から撮影してあげる風の口調である。
そう、大阪ではこの言い回しがデフォルトなのだ。

どちらも当ブログ上では何度も登場している存在にも関わらず、実は初対面である “サヨ” ちゃん& “ココ” とマ人氏。
大阪ではタヌキを連れている人をあまり見かけないのか、珍しそうに写真を撮っていた。

ひとしきり会場にいる犬たちの写真を撮り終わったところで、今度は自らが被写体となって真熊とのツーショット撮影を始める。
相変わらず、驚くべきマイペースだ。

なぜか俺がマ人氏のカメラで撮影する係になっているが、その姿が珍しいのか、自然とギャラリーが集まり出した。
確かに、間違いなく東日本にはいないタイプの人間だ。
物珍しくも感じるだろう。

さらには、構図まで指定する。
前向き、後ろ向きと、数種類のカットを要求してくるこだわりよう。
さすがは前に前に出てくる大阪のノリだ。

今度は、真熊とマリィのツーショットを撮ろうと、有無を言わさず2匹をカートインするも、何やら構図が気に食わないらしく、再び浮かない顔を始めては、なかなかシャッターを切ろうとしない。

彼の中で、何に納得がいかないのかは一切分からないが、とにかく 「怒るで、しかし」 的な不満を抱えている様子だった。
ちなみに、東日本の人間にはあまり馴染みのない言葉 「正味の話」 とは、噛み砕いていうと、「マジで」 みたいなニュアンスだと思ってもらえるといい。

構図に悩むマ人氏を尻目に、2匹は会心のスマイルでシャッターが押されるのを待つ。
最終的に、どういった写真が撮れたのか。
納得のいくものに仕上がったのかは、今のところ誰も知らない。

よく、老舗の鰻(うなぎ)屋は 「火事になったら何はさて置き継ぎ足しのタレを持って逃げろ」 と言うが、マ人氏の場合は間違いなくマリィとカメラを担いで逃げることだろう。
それくらいマリィを溺愛しているのが窺える。

しかし、そんなマ人氏に唯一俺が納得いかないのが、彼の場違いないでたちだ。
オフ会とは、愛犬を通しての交流の場であり、自分の贔屓(ひいき)にする球団をアピールする場所ではないと、これまでも何度となく警鐘を鳴らしてきた。
にも関わらず・・・・・・

まさかの増殖。
それどころか、中日ドラゴンズ、横浜ベイスターズ、広島カープと、下手するとセ・リーグの6球団が勢ぞろいする勢いでユニフォームを着用した参加者が存在していた。
間違いなく、愛犬家の中にヘンなムーブメントを起こしているマ人氏。
このままでは、パ・リーグのファンにもこの流れが波及するのは時間の問題だ・・・・・

そんなマ人氏が、あれこれ構図を悩みながらも真熊を撮影した渾身の一枚。
確かに、いい笑顔だ。
そして、彼は再び大阪へと帰っていったのだった・・・・
愛犬のオフ会にヘンな文化を浸透させつつある大阪人のためにもポチしないと ―――

メガネがズレた場合、人差し指でメガネの中央を突いて直すのが大阪人。

いつもアリガトウございます m(_ _)m
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【今日の一言】
いろいろ懲り過ぎて、こんな時間になっちゃった・・・・

| 熊猫犬オフ会 | 14:56 | comments:23 | trackbacks:0 | TOP↑