志熊の初お風呂
明らかに微熱が出てきて、ポッポしている局長です。
恋した時の熱りとは違うポッポなので、間違いなく何かの菌に侵されたんだと思います。
――― さて、昨日まで続いた 「志熊の養子縁組み三部作」 のこぼれ話。
晴れて親父の元へ養子に入ることが決まった志熊を、せめて最後にお風呂に入れてあげることにした。

この日まで、志熊は一度も洗われていない。
まだ小さかったので、お風呂は引き取った先での初仕事にしようと “たれれん” さんとも決めていた。
この世に生を受けてから、この日で83日目。
その間に、モカちゃんに毛づくろいで舐めまくられ、兄弟同士で噛み合い、舐め合い、自分たちのオシッコにまみれ・・・・・
それはそれはファンキーな臭いを発していた。
ということで、いざお風呂場へ。
しかし、まさかの先客が・・・・

冬だというのに、暑がりの真熊がタイルの上でくつろいでいた。
赤道直下か、お前の周りは。
そんな真熊の姿を見て、タイルの上でシャワーヘッドで遊びだす志熊。
この後の恐怖を想像すらできていないようだ。

そして、いよいよシャワーで体を流し始める。
初めて浴びせられるお湯の感触に、それまでの余裕ぶりは一瞬で消え、ぶるぶると震え始める。
たっぷりのお湯で被毛を濡らした後は、仔犬用シャンプーで洗い始める。
これは、俺の手が触れているせいか、少し落ち着きを取り戻した感じだった。

体の隅々まで洗い、再びシャワーで流す。
ここまでの作業が、あっという間に終わった。
体が小さく、毛も少ないとなると、こんなにもお風呂は楽なものなのか。

顔もしっかり洗い、タオルで拭き上げる。
シャワーをかけ始めた時から再び震えていたが、タオルにくるまれると自然と安心感を見せる。
大まかに拭いたところで、ヒーターの前に移動して、ドライヤーで乾燥。

コームブラシでアンダーコートを解きながら、ゆっくりと乾かしていると、さっきまで怯えていた姿はどこへ。
いつの間にやら寝てしまっている。
どこまで肝が据わっているのやら。
小一時間かけて、シャワーから乾燥までを終了。
志熊はあまりに気持ち良さそうに寝ているので、そのままにしておいてあげた。

その後、夕食を済ませてから、いよいよ俺の帰り支度を。
車に荷物を運び始めると、志熊も起きた。
そして、俺が玄関から出ていくたびに、内扉の小窓越しに立ち上がって不安そうな顔をしている。
どうやら、置いて行かれるのでは?と危惧しているようだ。

こんな小さな体でも、ママや兄弟、それまで育ててくれていた人たちとお別れしたことを認識しているのだろう。
唯一知っているニオイの俺まで、自分の元からいなくなるのではと不安を覚えているようだ。

そんな様子が見て取れたので、荷物を運び終わってからは食卓に座って少しくつろいだ。
すると、志熊も再びヒーターの前に置かれた毛布の上で眠り始めた。
それを見て、俺と真熊は親父の家を出た。
志熊が起きないように気を付けながら。

さようなら志熊。
また、ちょくちょく遊びに来るから、お爺ちゃんと楽しく暮らすんだぞ。
今日からそこがお前の家だ。
こうして、後ろ髪を引かれる思いで、俺は帰路に就いた。
たった3日間の志熊との時間だったが、心にポッカリ穴が開いた感じだった。
おまけ

真熊も3日間お疲れさまな!
志熊との別れに、スターリングとラスカルの別れのシーンを思い出した俺に―――

さよならラスカル! 達者で暮らせよ!
これがスターリングからの最後の言葉。

いつもアリガトウございます m(_ _)m
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【今日の一言】
どこでもらってしまったのだろう、この咳と微熱と喉の痛み・・・・・
| 真熊の子供 | 07:36 | comments:39 | trackbacks:0 | TOP↑