あれから一年・・・ [あとがき]
いただいてしまいました。
きっと俺の表現が弱気に感じるような内容だったのでしょう。
多くの方々へ多大な心配をかけてしまったようです。
ご自分の過去の辛い経験をもとに励ましのコメントをくださった方がたくさんいました。
きっと思い出したくないような辛い過去だったでしょうに、俺のためにその箱のフタを開く
ことになってしまい申し訳ない気持ちでいっぱいです。
まず最初に、くれぐれもお伝えしておきたいことは―――
●「広島女」 に未練なんてありません。
●「あの時こうしていれば・・・」 といった後悔もありません。
あの日の記事の趣旨は、文字通り 「あれから一年も経ったのかぁ・・・」 という、
早いような遅いような、いろいろあったなぁという率直な感想ですね。
皆さんからのコメント(非コメも含めて)に、
「結婚前にこうなって良かったのでは」
というご意見が多く寄せられていました。
俺もまったく同感です。
去年のあの日、彼女が家を飛び出さずに、それからも何とか関係を保てたとしても、
きっとどこかのタイミングで同じことは起きていたでしょう。 間違いなく。
だって、「男」 は広島女の職場の同僚だったのだから。
すなわち俺と同じ職場でもあります。
部門が違うので、一切関わりはなかったのですが、俺より6歳も上の派遣社員です。
日中は俺のいないとことで毎日顔を合わせているのだし、遅かれ早かれ同じ結果が
待っていたのは火を見るより明らかですよね。

広島女との別れ方も最悪の形でしたが、むしろこの方が良かったのかなと考えています。
お互いに愛し合っているのに、病気のせいで別れるしかない・・・・
といった “悲恋” じみた終わり方だったとしたら、きっと尾を引いていたことでしょう。
実際、7月20日に彼女が家を飛び出してから一向に帰ってこず、一度電話で連絡を取ると、
「絶対に戻らない。 結婚もしない」
と一方的に言われ、その後は携帯もメールも着信拒否となっていました。
普通に付き合っているだけの関係なら、「じゃ、さようなら」 ってのもアリなのかも
しれませんが、俺たちは4ヶ月後に挙式を控えている関係です。
そんな簡単な問題ではないので、俺は彼女の母親と連絡を取りながら、このままじゃ何も
改善しないのだし、一度両家で集まって協議をしようということになりました。
俺がブログを始めたのも、その時です。
毎日毎日やきもきした気持ちで、心が折れてしまいそうだったからです。
「時間をつぶしたい」
「何かに熱中していたい」
という思いだってのですが、選択肢は他にもあったと思います。
スポーツジムに通うとか、社会人サークルに入るとか。
その中でも 「ブログ」 という選択をしたのは、これまでも何度か紹介してきている
『その後のサザビー』 の影響が大きかったと思います。
毎日、読んでは癒される。
俺にとっては、なくてはならない存在でした。
どうせやるなら俺もこうやって多少なりとも世間の役に立つようなことを・・・
なんて善人ぶった考えで始めたものでした。
すると、ブログを始めた翌日、広島女から郵便で手紙が届きました。
内容は、
「○○(局長)さんは怖い時がある。 将来、子供が生まれたら、きっと子供が怖い思いをする。
だから結婚できない」
というものでした。
それを読んで、ピンと来てしまったのです。
広島女が家を出たきっかけは、「女性だけの飲み会」 の参加メンバーのことでヒステリーに
着火して爆発したものです。
それが、この手紙の内容は全くもって別の話にすり替わっている。
しかも、前々からこんなことを俺が言われていたのなら、広島女もずっと考え続けてこういう
答えに至ったのか・・・・なんてことも考えられたかもしれませんが、まったくもって初めて聞く
ような話です。
ましてや、「子供」 なんて、まずは病気を治すことしか考えていない俺たちには、ほとんど
縁のない話。
そこで俺は分かったんです。
「裏でシナリオを書いている人間がいる」 と。
目星も付いていました。
実は例の派遣社員とは、広島女は2月、3月にもちょくちょく怪しい行動をとっていました。
たまりかねて俺が男本人に直接釘を刺したことがあったのです。
結局、したくはなかったけど、広島女に調査を入れました。
8月15日に予定されていた両家の協議に間に合えば・・・と思っていたのですが、
それは残念ながら間に合いませんでした。
そして、運命の 8月15日。
広島女は両親と共に、待ち合わせしていた新横浜のホテルラウンジに現れました。
結局、2時間以上に渡る協議の中で彼女は一言も口を開かない。
全て両親が彼女に代わって話をする。
遠く広島で、病気の実情など何も見てこなかった両親が。
話しているうちに、よく分かったことがありました。
お盆休みに入り、広島女はすぐに実家の広島に帰り、この日に3人で戻ってきたわけです。
その間の3~4日間ほど、綿密な口裏合わせがされていたってことです。
このまま普通に話が進めば、
「正当な理由なき一方的な婚約不履行」
なので、広島女は俺に対し慰謝料を支払う義務が生じる。
それを防ぐために、「二人の問題」 であり、どうにも結婚が難しいという内容に着地させ、
「双方の都合(問題)による婚約解消」 という決着にさせようと必死だったのです。
俺は、ここへ来るまで2通りの予想をしていました。
一つは、広島女が全てを認めて謝罪してくること。
もう一つは、逆ギレのような形で真っ向から対立してくること。
前者であってほしいと願ってはいたものの、フタを開けてみると、ものの見事に後者でした。
結局、最後まで話は平行線のまま。
俺もこれ以上の話はムダと判断し、
「とりあえず挙式はキャンセルしましょう。 但しキャンセル料は全額そちら負担のこと」
という条件を出しました。
彼女の父親は 「分かりました」 と答え、協議は終わりました。
それから一時間後、3人が我が家へ彼女の荷物を引き取りに、タクシー2台を引き連れて
やってきました。
荷物を全てタクシーに積み込むと、彼女の母親がいきなり俺に言いました。
「二人の問題で挙式をキャンセルしたのですから、○○(局長)さんにも支払い義務があります。
式場には折半で○○(局長)さんにも請求するように言いましたから」
俺は、「はぁ?」 という思いで、父親の方に問いただします。
「あなた、さっき全額負担するって言いましたよね?」
すると父親は、
「言ってません」
と白を切り始めたのです。
荷物を取りに来るまでの一時間の間に、式場にキャンセルの連絡を入れたのでしょう。
そこで初めてキャンセル料が90万を超える金額と知って慌てたのでしょう。
急に翻意して 「折半」 と言い出したのです。
この父親は協議中も嘘が目立っていました。
俺が何度も突っ込んだが、その嘘を突き通します。
それが、この期に及んでもこの嘘。
ついに俺も堪忍袋の尾が切れて・・・・
「ふざけんじゃねぇぞ、このハゲ!」
と詰め寄りました。
待たされていたタクシーの運転手も唖然とし、母親も彼女も驚いていたが、ヤツらはそのまま
逃げるようにタクシーを走らせました。
話は着いていない。
俺は父親の携帯に電話するも出ない。
母親も出ない。
広島女は着信拒否。
そして、ヤツらがどこへ帰っていったのかさえ分かりません。
俺はやり場のない怒りで、おかしくなりそうでした。
実は、この協議に臨む時点では、正直、俺はまだ彼女に対する思いが強くありました。
「病気が判断を間違えさせている」
という彼女をかばいたい気持ちが強かったんです。
現実、彼女のメンタルは、まだまだ正常とは言えなかったから。
俺の親父も常に言っていました。
「悪いのは○(広島女)ちゃんじゃない。 病気が悪いんだ」 と。
だから、協議の最中でも後でも、もし彼女が 「戻りたい」 と言い出したら、
普通に迎え入れてあげようと考えていました。
しかし、このやり取りで、いくら彼女への気持ちがあっても、この両親とは例え 「義理」
でも親子にはなれないと痛感しました。
これで、俺の中の 「彼女とやり直せるのなら・・・」 という選択肢は消えました。

この翌日には、彼女の両親は広島へ帰りました。
そして、9月に入ってすぐ、例の調査結果が明らかになったんです。
結果は、『婚約相手に逃げられた男』 で書いた通りの内容。
その後は弁護士と協議しながら、広島女と話を進め、結果としてはキャンセル料も全額
広島女に支払わせ、あらゆる要求を飲ませ、それを順守するという誓約書を書かせ、
それら俺からの要求が完遂された時点で示談書を発行し、双方で署名と捺印をし、
先日、晴れて全てが終わったわけです。
そして、この示談交渉の席こそが、俺の広島女に対する気持ちの中に僅かに残っていた
「好意」 を完全に消し去ったのです。
交渉の中で、例の男との関係を問いただすも、彼女は 「絶対にそういう関係にはない」 と
完全否定していました。
そこで俺は切り札でもある、調査レポートによる “写真” を机に置いたんです。
広島女が、世間の目もはばからずに例の男とキスをしている写真を。
その他にも、手をつないでいる写真、彼女のマンションに男が来る写真など。
一瞬、その場に同席した立会人全員の息が止まりました。
さすがに、彼女を疑いきれていなかった誰もが 「本当だったんだ・・・」 という空気になりました。
さて、彼女はどういう発言をするのか。
俺は彼女の誠意に期待していました。
すると・・・
「でも付き合ってはいません」
初志貫徹というか、これまでと全く変わらないことを言う。
「はぁ? じゃぁお前は付き合ってもいない男とこんなことをして、自分の部屋にもあげて、
手をつないで歩くのか?」
俺も、さすがに呆れてしまいました。
それでも彼女は驚きの回答をします。
「まぁ写真が残ってるといことは、そういうことをしたのは事実なんでしょう。
でも付き合ってませんから。
ガッカリしましたか? こんな女で」
そこにいたのは、完全に別人の広島女だった。
俺の知っている広島女は、一人では何も出来ない子で、人に対して敵意をむき出しにする
ことなんて絶対にない、心の優しい、放ってはおけないような子でした。
それが、証拠を突きつけられても逆ギレするような攻撃的な態度。
まったくもって別人の姿でした。
結局、彼女は認めず、ラチがあかない状況になり、やむを得ず相手の男を呼び出して
同じ質問をすることになりました。
すると、男はアッサリと事実を認めたのです。
実はこの男、いい年をして、自分たちの行為がどれほど大変なことかを全く理解していなかった
のです。
「婚約、婚約って言うけど、別に籍を入れてるわけじゃないんだから、そこまで言う権利
なんてないんじゃない?」
と・・・
そこにいた誰もが呆れましたが、俺は特に相手にもせず、
「お前は家に帰ったらネットで “一方的 婚約破棄” で検索してみろ」
とだけ言い、その男に席を外させました。
男が認めたことで、ようやく観念した広島女は、渋々とこちらの要求を聞くようになりました。
しかし、それでも当初は俺の要求や慰謝料の支払いは固辞する構えでした。
どうやら彼女なりにネットで調べたりもしたらしく、「調停」 に持ち込もうとしていたようです。
さほど費用が掛からないこともあるからでしょう。
でも俺は一貫して、
「調停なんかしない。 要求を飲まないのであれば即裁判」
という姿勢を崩しませんでした。
俺にこれだけ証拠を握られてしまっている彼女は、裁判になれば勝ち目がないのは確か。
弁護士費用など、ただ失費だけが増える結果になります。
こうして、ようやく誓約書に署名をしたのでした。

俺が局長を務める 「とある組織」 のメンバーで、広島女と仲の良かった女性がいました。
その女性に、この一件を伝えると、こう言いました。
「もう私たちの知ってる○ちゃん(広島女)は消えちゃったんですね」
本当に・・・・
本当にその言葉が全てを物語っていました。
俺が2年半にわたって支えてきた彼女は、あの示談交渉の席にいた女ではありませんでした。
後日、機会があって、広島女の母親と話をしました。
そこで俺は、どちらが本当の彼女なのかを聞いてみました。
すると、
「多分、今の姿が本来の○(広島女)かもしれません。
昔から、彼氏を従えるような気の強さがありました。
でも、○○(局長)さんと一緒にいる○(広島女)は、いつもの逆でしたから」
と言う。
俺が職場で出会った彼女は、最初から俺が知っている姿でした。
うつ病や解離性同一性障害を発症して、一緒に暮らすようになってからも、
ずっと同じ姿でした。
でも、その彼女は完全に消えたんです。
あの協議の席で見せた彼女の姿が今の彼女なのだから。
だから、俺からは未練も心残りも何もないんです。
今のあの彼女は、俺が好きになった彼女とはかけ離れているし、きっとこの先も平然と
人を裏切るのでしょう。
そしてあの両親が、彼女が何をしても全力で擁護し、綿密な口裏合わせをして、
彼女の火消しに奔走することでしょう。
最後に、この2年半を振り返ると、時間をムダにした感は否めませんが、
それでも100%ムダにしたとは思っていないんです。
普通に人生を送っていたら決して経験できないようなことを経験できたので。
ここまでメンタルの病気と真正面から向き合うことも、人の心の裏表を知ることも、
人生の大きな障害を乗り越える術も、普通だったら経験できないことだったんですからね。
ということで、俺が広島女との過去を綴るのは、決して未練や、後を引きずる思い
なのではなく、「すっきりしている」 からこそ書けるネタなんです。
(みーちゃんのコメント、俺をよく理解してくれてる・・・ってビビリました)
今後も、たまには書くことがあるかと思います。
でも、それは彼女をおとしめるためでもなく、「悲劇の主人公」 を演じるためでもなく、
同じような経験をしている人と、発想や情報を共有できれば・・・という考えです。
今まさに、こういったピンチに直面している人の役に立てれば本望ですし、
昔のことを引きずっている人を元気付けられれば、願ったり叶ったりです。
長々と綴ってしまいましたが、皆さまご心配をお掛けして申し訳ございませんでした。
俺は大丈夫です。
広島女は、放っておいても不幸な末路をたどるだけですからね。

重苦しい内容になってしまいましたが、明日からはいつもの軽い感じのネタに
もどりますからね!

しばらくは行きたくないけど。
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| 婚約相手に逃げられた男 | 15:48 | comments:20 | trackbacks:0 | TOP↑