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熊猫犬日記

婚約相手に逃げられた男とその扶養家族:アライグマ・猫・犬(黒ポメラニアン)たちの奮闘記!

2010年01月 | ARCHIVE-SELECT | 2010年03月

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51日前・・・

※ペットブログに反してペットネタも出てこない完全な個人ネタです。


あの日のことを忘れないようにブログに記しておこうと思う。
完全に個人的な記事だから、興味のない人はスルーしちゃって下さいね。


今日から51日前の12月25日(金)。
俺は仲のいい仕事上の同志と三軒茶屋で飲んでいた。
マンツーマン忘年会だ。


マンツーマン忘年会


この日、両親が我が家へ来ることになっていた。
理由は年末の大掃除の手伝い。

その一週間ほど前に、オカンから打診があったのだが、
いい歳して大掃除を親に手伝ってもらうなんて恥ずかしいから断った。
それに、年始は千葉の両親宅へ行く予定だったので、「一週間後には会うんだから」 と。

しかし、「仕事も忙しいし、どうせ終わらないんだから!」 と引かないので、
「それじゃぁ」 とお言葉に甘えることにしたのだった。

とはいえ、この日は忘年会の予定が入っていたので、帰りも遅いと言っておいた。
翌朝に顔を合わせるつもりでいた。



俺の家の最寄り駅への終電は少し早い。
その後は、最寄り駅の一つ手前の駅までしか行かない電車に切り替わるのだ。
そこで、あらかじめ終電時間も調べた上で飲んでいた。

しかし、この日は話も楽しく、お酒も美味しくて、終電は迫っていたが、
もう少し飲んでいたいと感じていた。
結局、終電帰宅は諦めて、飲み続けた。

そして、予定よりも少しばかり遅くなって、三軒茶屋の駅へ向かい、帰路についた。
一つ手前の駅までは行けるのだから、そこからはタクシーのつもりでいた。
でも、よくよく考えてみると、12月末の金曜日の夜。
しかも、その先まで行く電車は終わった時間帯。
その状況でタクシーをゲットするなんて至難の業なのでは??
電車に揺られながら、そんなことに気付いてしまった。

慌ててオカンにメールを送った。
「○○(最寄り駅)行きの終電乗り遅れちゃったけぇ、△△(一つ手前の駅)まで
 迎えにきてもらえんかね」

親父は絶対に酒を飲んで寝てしまっているはずだから、最初からオカンに頼んだのだった。

すると、東急線を降りて、一つ手前の駅まで行く路線に乗り換えようとホームを歩いていた
0:15、オカンから電話が掛かってきた。

「いいよ。 どこに行けばいい?」
「サンキュー。 じゃぁ南口のロータリーで」
「はいよ。」
「よろしくね。」

そんな会話を交わし、電車を乗り換えて、終点まで揺られていた。

0:40、終点の駅(最寄り駅の一つ手前の駅)に到着、約束のロータリーに向かう。
しかし、どうにもオカンの車は見当たらない。

0:47、オカンに電話してみる。

「オカン、どこにいる?」
「ロータリー混んでて停められなかったから、▽▽高校の前に停めてるのよ。」
「▽▽高校? あぁ! 見つけた!」

オカンも俺を見付け、俺が乗りやすいように車を少し前に出した。

0:50、車の助手席に乗った。

「いやぁ、悪かったね!」
「いいよいいよ。」

そして車は走り始めた。


走り出して30秒程度、最初の信号に差し掛かった時、オカンが言った。

「あれ? なんか目がかすむ・・・・」

そして、その手前でハザードを出して路注している車の後ろに停まろうとしているので、
「停めるの? あの車、路注してるだけだよ? 抜かしちゃっていいんだよ?」
とオカンに確認した。

「あっ、ああ!」

オカンも少し慌てた感じで、その車を抜いて信号を通り過ぎた。
すると、その100mほど先にある次の信号に差し掛かろうとした時、今度は
「あれ・・・・ 信号が分からない・・・・」
と言い出した。

「ん? 分からない? 青だよ! 行っちゃって大丈夫だよ?」

そういって直進させたが、道路が片道2車線になると、そのど真ん中を走り始めた。

「おいおい! 危ないよ。 次が右折だから右車線に寄って!」
俺も慌てて注意した。
するとオカンは言う。
「えぇ? 分からない・・・・」
「分からない? とにかく右寄って、寄って!」

声を荒げて言うも、オカンは少し右に寄るだけ。
「もっとだよ、ギリギリまで寄っちゃえよ!」
「え・・・・ ちょっと分からない・・・・」

そうこうしている間に右折する交差点に差し掛かる。
「ここ右折。 曲がって!」
「え? 曲がる?」
そういってオカンはハンドルを切るが、交差点のかなり手前から曲がり始める。
縁石に乗り上げそうなほどだった。

「早い、早いよ! もうちょいまっすぐ! はい、ここで切って!」
初心者に運転指導するように、指示を出す俺。
こんな状態が続き、さすがに俺も事故の危険を感じざるを得なかった。
やむを得ず、運転を代わった。
俺は飲酒していたが、どう考えてもオカンの状況がおかしい。
背に腹は変えられなかった。

警察に出くわさないことだけを只々祈りながら、恐る恐る家まで車を走らせ、
なんとか無事に着いた。
1:00を少し回ったくらいだった。

「じゃぁ俺、車庫入れするから、先に降りて家入ってて。」
そう言ってオカンを先に降ろして、俺は車庫入れしてから玄関へ行くと、
オカンがカギを持ったままドアの外にいる。

「なんだよ、入ってていいのに。」
そういって俺がカギを開けて一緒に家に入ると、オカンは 「吐き気がする」 と
言うので、急ぎトイレに連れて行った。
なんか様子がおかしかったし、熱でも出ちゃったのかな?
それくらいに考えていた。

俺はリビングに入り、上着を脱いだり、真熊たちと抱擁したりして10分程度経った頃、
未だオカンがトイレから出てこないことに気付く。
心配になってトイレに行くと、カギは掛かっていない。
ドアを開けると、吐いたままの状態でオカンが立っていた。

「全部吐いたなら流して、出ておいでよ。」
そうオカンに言うと、
「えぇと・・・・ どうやるんだっけ・・・・」
そう言って尚も立ち尽くすオカン。

とてもイヤな予感がした。
とりあえず俺がトイレを流して、手を洗わせて、リビングに連れて行き
ソファに座らせた。

「オカン、自分の名前言えるか?」
こんなこと聞きたくなかったけど、聞くしかなかった。

「えぇと・・・・ 名前は・・・・ 名前は・・・・」

自分の名前すら言えない。
ほんの30分前に待ち合わせした時は、至って普通だったのに、道中から急激に
様子がおかしくなっている。

「よし、とりあえず今日は寝よう!」

そう言ってオカンを隣の和室に運び、すでに敷いてある布団に寝かせた。
隣にはやはり酒を飲んで寝ている親父の姿が。

オカンに布団を掛けて、俺は急いでパソコンを開き、ネット検索を始めた。
「急性 痴呆」
「急性 アルツハイマー」
そんなキーワードを入れてあれこれ調べる。
しかし今のオカンに該当するような症状が出てこない。

調べ始めて10分ほど経った1:20頃、何やら廊下で音が鳴った。
ドアを開けてみると、オカンが這っていた。
手に吐いてしまったらしく、這った状態でトイレに向かっていた。
慌てて手を拭いてあげ、担いでトイレに運ぶ。

やはりおかしい・・・・

やむを得ず親父を起こす。
酔っ払ってる親父は最初は状況が飲み込めていなかったが、
トイレにしがみ付いているオカンを見て、一気に酔いも覚めたらしい。

「救急車だ」
と言った。

「確か、こういう時は3時間がヤマだっていう話だ」
と言いながら、オカンの介抱をしている。

「ってことは脳?」
俺も改めて尋ねる。
「多分・・・・」
親父は再びオカンを布団に寝かせ、パジャマから着替える。

救急に電話を入れると、10分ほどでやってきた。
1:40のこと。

救急隊が脈をとったり俺たちに状況確認を始めるが、オカンは目を覚まさない。
意識を失っているらしい。
あれこれ確認して、ようやく担架を広げて救急車に運ぶ。
1:50。
そこから近隣の救急病院へ受け入れ可否の連絡を入れる。
しかし、どこも受け入れ拒否だ。
北里大学病院ですら断られる。

嫌な予感が脳裏をよぎる。
ニュースでよく聞く話・・・・
「たらい回しの末、助からなかった」 という話。

そして、俺のイライラもピークに達し始めた2:20頃、東京都郊外の病院で
受け入れてもらえることに。
救急車に乗り込んで30分、ようやく発車できた。


2:40、病院に到着。
オカンはストレッチャーに乗せられたまま検査へ。
俺たちは待合室に通される。

30分くらい経った頃、医師に呼ばれた。
医師の机のモニターには脳のCT画像が映っているが、素人の俺たちには
それが何を意味しているか分からなかった。

すると、医師は入院中の別の患者のCT画像を隣に映し出した。

2枚を比べると、その違いは素人目にも分かる。
オカンのそれは、脳の左側が右側の1.5倍くらいに大きくなり、右側は
その分、小さくなっていた。
さらに画像の全体が白くぼやけていた。
対する別の患者のそれは、左右対称の形をしているが、一箇所に白い
かたまりのような箇所がある。

この別の患者は一般的な脳梗塞患者だという。
そこで初めてオカンが脳梗塞だということが分かる。
しかし、それは単なる結果だと言う。

「○○さん、不整脈がありますね?」

俺も親父も知らないことだった。
そういえば、救急車に乗ってから、救急隊の人にも言われた。
「そんなことないはずですが」
親父がそう答えていた。

「不整脈ですか?」
親父は本当に知らないらしい。
というか、オカンも自覚していないらしい。

医師の話によると、不整脈により心臓内に出来てしまった血栓が、
心臓から押し出され、体を巡って脳に達し、脳の細い動脈を詰まらせた
とのこと。
そして、左側が急激に膨張したという。
「心房細動」 という病名らしい。

オカンは以前、三半規管に不具合が出て、血液をサラサラにする薬を
処方されていたらしく、今もそれを服用していたらしい。
それが災いして、詰まった血管から噴出したサラサラの血液が
一気に脳全体に回ってしまったようだ。
それがCT画像で白くぼんやりしているものの正体だという。


で、結論は?
どういった治療をしていくの?

その問いに医師が答えたのは、
「助かりません」
という予想だにしない言葉だった。

「三日がヤマです」


俺たちは呆然とするだけだった。
「助からないって? だってさっきまで普通に車も運転して迎えに来たんですよ?
 こんなに突然、死ぬことになるんですか?」
「この場合はそうです。」

「救急車が出るまでに30分以上掛かりました。 そういえば俺も様子がおかしくなって
 すぐに救急車を呼ばず、痴呆を疑って調べていました。 そういった時間ロスが
 助かる命をダメにしてしまったんですか?」
俺はまず責任の所在をハッキリさせたかった。
でないと、何も悪いことをしていないオカンが急に死ぬなんて納得できないからだ。

「いえ、血栓が脳に飛んだ時点で全て決まったんです。」
医師が言う。
車の運転をしていなくても、家にいても、血栓は出来てしまっているわけだから、
どうやっても心臓から押し出される。
だから何をやっても同じ結果になっていたという。

「じゃぁ、これって運命なんですか?」
「そう、運命なんです」


これ以降は、12月26日のブログから綴った通りだ。

オカンは、ずっと病気をしていたわけでもなく、あの日いきなり倒れたわけでもなく、
普通に車も運転して、普通にメールや会話もしていたのに、俺と会うやいなや突然に
死に向かって舵を切り始めてしまったのだ。



しかし、今日こうして全てが済んでみると、今回の出来事が本当に 「不幸中の幸い」
とも言える奇跡の連続だったことがよく分かった。


①俺が最寄り駅までの終電に乗っていたら――
  ⇒当然オカンに迎えなんて頼まないから、オカンは寝ていたはず。
   だとしたら、この異常に朝まで誰も気付かなかった。

②俺の乗る電車がもう一本遅れていたら――
  ⇒オカンとの待ち合わせ時間もその分遅くなっていたはず。
   だとしたら、オカンが駅まで向かう道中で異常が出ていた。
   すなわち交通事故を引き起こしていたはず。
   それで発見されたとしたら、今回の頭の症状は事故によるケガとして
   正しいジャッジをしてもらえなかった可能性が高い。
   何より、第三者を巻き込んでしまっていた可能性が高い。

③俺の忘年会がなかったら――
  ⇒オカンは0:00には寝ていたはずだから、やはり朝まで誰も
   異常に気付かなかっただろう。

④我が家へ来ていなかったら――
  ⇒千葉の両親宅で異常が起きたわけだから、朝になってから親父が気付くことに。
   また、千葉の片田舎では専門医も少なく、適切な処置すら受けられなかった
   可能性が高い。


全てが紙一重で、その状況下では最善の結果を招いていた。
オカンの神がかり的な強運ゆえのことか。



――とりとめのない文章で長々書いてしまった。
ここまで読んでくださった人がいたら、本当にありがとうございました。
オカンの生きていた最期の様子を何かに残しておきたくて、
こんなにダラダラと書いてしまいました。

| 非日常 | 23:59 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

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